個人の金融資産は為替相場に影響を与えますか?
日本銀行が四半期ごとに発表している資金循環統計を見ますと、個人の金融資産が毎年最高額を記録する勢いで伸びていて、その額は1,600兆円に届くほどになっています。
これだけの個人の金融資産が、高い利回りや売買益を求めて動くのであれば、為替市場に与える需給のインパクトも極めて大きいものになります。
特に、日本は超低金利の環境が続いていますから、急激で大きな資産変化も生じやすいといえます。2003年頃から活発化した「円キャリー取引」はその最も顕著な動きといえるでしょう。
これは、国内の低金利に嫌気がさした個人投資家が、より金利の高い金融商品へと向かった結果です。
実際、現在でも個人の金融資産のほとんどが金融機関に預貯金として保有されていますので、投資に向かった金融資産というのは、全体の10%に過ぎないといわれています。
しかしながら、それでも円は対ドルで115円まで安くなりました。
2007年に起きたサブプライムローン問題によって、円キャリー取引の動きは鈍化しましたが、アメリカの金融市場が落ち着きを取り戻せば、再び個人投資は再燃すると思われます。
|