FX投資早わかり



1980年代の金価格と世界経済(1)

金価格が史上最高値に

1970年代後半から続いてきた金価格の上昇はバブル化し、ついに1980年1月21日には、現物市場の指標であるロコ・ロンドンでは1トロイオンス=850ドル※、ニューヨーク先物市場では1トロイオンス=875ドルの頂点に達しました。

これは、1年前の1979年1月の価格が236ドルでしたから、1年でなんと4倍もの値上がりとなったわけです。ちなみに、2008年以前で金価格が史上最高値を付けたのがこの時でした。

※以下、金の現物価格については、ロンドン市場の金価格を採用します。

金価格が史上最高値を付けた背景は?

原油価格の高騰によるインフレや、東西陣営の冷戦構造によって金価格がバブル化していたところに、1979年12月、ソ連のアフガニスタン侵攻が起こりました。

ソ連はアフガニスタンに誕生した共産主義政権支援のために、ソ連が軍隊を侵攻させて占領したのです。

また、その前月の11月には、イランのアメリカ大使館占拠事件がありましたが、大使館員らを人質に取って立てこもった学生たちの行動を、ホメイニ師が批判するどころか称えたことから、アメリカとイランの関係が冷えきり、両国は1980年4月に国交を断絶することになります。

ソ連の他国への侵攻とイランの反米の姿勢は、米ソの直接対決に発展するのではないかとの憶測を呼びました。

このとき、投資家は「有事の金」に注目し、金市場参加者は国際紛争を材料に買いまくったのです。

ちなみに、このときの買い方の主力となったのは、産油国であるサウジアラビアやクウェートなどであり、これは、原油の高騰により膨大なドルを得たものの、第3次世界大戦にでもなればその価値が失われるもしれませんので、リスクヘッジのために金(ゴールド)を買ったのでした。

そして、バブルの下地のあったところにこのような金特需が生じたことから、金価格はピークに向かって急上昇していったのです。


1970年以前の金価格と世界経済(1)
1971〜79年の金価格と世界経済(1)
1971〜79年の金価格と世界経済(3)
1980年代の金価格と世界経済(1)
1980年代の金価格と世界経済(3)

1970年以前の金価格と世界経済(2)
1971〜79年の金価格と世界経済(2)
1971〜79年の金価格と世界経済(4)
1980年代の金価格と世界経済(2)
1980年代の金価格と世界経済(4)


Copyright (C) 2011 FX投資早わかりV「金(ゴールド)編」 All Rights Reserved