ギリシャのソブリン・リスクからユーロ安へ
2009年末から2010年初めにかけてのドル高は、このタイミングで発表されたアメリカの2009年11月の雇用統計が予想よりも改善していたことにほかなりませんが、それ以外にも、FRBまでもが連携したアメリカ金融当局の為替政策にもあるといえそうです。
さらにそこへ、大手格付け機関によるギリシャ国債の格下げが公表されると、ドル高というよりはむしろ、ユーロ安が起こり始めたのです。
ギリシャの慢性的な財政赤字については、以前からソブリン・リスク※が指摘されていたわけですが、2009年10月に政権交代が起こったことをきっかけとして、従来公表されてきた赤字額より相当多いことが判明しました。
これは、前政権が統計データを操作していたということでしたが、EUによると、GDP比で見た累積政府債務残高は2010年に124.9%にもなるとのことで衝撃が走りました。
果たしてこのデータのごまかしはギリシャだけなのか、ユーロ圏、とりわけ放漫財政が指摘されてきた南欧に対する不信が一気に高まり始めたのです。
※国家が破綻するリスクのことです。
ギリシャの財政再建策発表と金(ゴールド)の売り仕掛け
その後、2009年12月に、国債の格下げと金利の上昇によって追い詰められたヨルゴス・パパンドレウ首相は、公共事業の見直しや社会保障費の削減などの方法により、2009年にGDP比で12%超であった財政赤字を、2013年までにEUの基準である3%以内に圧縮するという内容の財政再建策を発表しました。
この段階で金市場では、ユーロ安・ドル高に対応する売りが見られましたが、ユーロ安が進展する際に、一部ヘッジファンドによる売り仕掛けもあったようです。
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