アメリカの資産効果
当時のアメリカ人は、個人金融資産の50%以上を株に投じていたといわれています。
これにより、ハイテク株を中心に株高が起こり、資産価格の上昇によって消費や投資が活発になる資産効果が生じたことから、さらに好景気となっていきました。
当時のグリーンスパン議長は、実力以上に値段が上がり続ける説明のつかない株高現象のことを「根拠なき熱狂」と表現しましたが、手綱を締めることはしませんでした。
コンピューターの2000年問題とは?
コンピューターの2000年問題というのは、1999年から2000年に変わる時に、2000年の下2桁の「00」を1900年の「00」と勘違いして誤作動を引き起こすのではないかと心配されていた問題のことです。
これに対する対策は進んでいたものの、グリーンスパン議長はもしもの金融の混乱を想定して、通貨供給量を増やしました。
しかしながら、2000年問題では大きな混乱は生じませんでしたが、過剰になった通貨がITバブルを生み出し、2000年1月にはニューヨーク・ダウが、3月には新興市場のナスダック総合指数が最高値を記録しました。
これにより、中国やロシア、インドといった新興大国も潤ったことから、稼いだドルをアメリカに投資しました。
こうして還流してきた巨額のドルは、株式市場などの投資市場を沸かせることとなり、次のような好循環に入っていきました。
■株価が上昇する⇒景気が良くなる⇒企業業績が向上する⇒従業員の給料が上がる⇒消費が増える⇒一段と景気が良くなる⇒株価が上昇する…
こうした状況では、金利を生まない金(ゴールド)は資産運用の対象外であり、アメリカ国債や株式を買うことが投資上のベストの手段であるとされたのです。
|